研究会について

2019年6月9日

設立趣旨

 ティーチング・ポートフォリオ(以下、TP)とは、「自らの教育活動について振り返り、その記述を根拠資料(エビデンス)によって裏付けた厳選された記録」であり、その主たる作成目的は教育の改善と教育活動の可視化にあります。
 TP は北米および欧州において、大学教授職への応募資料あるいは終身在職権(テニュア)審査のための教育業績の評価資料として広く普及しています。一方、日本において TP が普及をはじめたのは、1997年に杉本による TP の概念の紹介以後しばらく経過した、2007年のピータ一・セルディンの訳書の出版、2008年1月の大学評価・学位授与機構におけるアメリカ版の TP 作成ワークショップ(WS)の開催、2008年8月の大学評価・学位授与機構における日本版の TP 作成 WS が開催されて以降です。現在は、約30の高等教育機関でTP が導入され、約600名が TP を作成しています。
 TP は、いわばゆっくりと広がってきましたが、現在新たな段階に入りつつあります。高等教育では、文部科学省の調査項目や私立大学等総合改革支援事業の評価項目に TP がとりいれられるようになり、初等中等教育においては、TP の体験版として開発された TP チャートが、教育理念や目的を再確認し共有するツールとして浸透しつつあります。これらは今後 TP の急速な普及の駆動要素となりうる動きといえます。
 これは、TP が教育の質向上に正しく貢献できるチャンスでもありますが、一方、TP が形骸化する危機を迎えているともいえます。私達はこの節目を「TP が教育の質向上に正しく貢献する」ための「正しい普及」の起点としなくてはいけません。
 そこで、ティーチング・ポートフォリオ研究会(Association for Teaching Portfolio)の設立を提案し、本会の目的を「ティーチング・ポートフォリオの正しい普及および研究の充実を図り、学術および文化の発展に寄与すること」とし、以下の事業をおこないます。

・TP に関する情報発信
・TP 作成の支援(WS の開催、基本知識提供)
・TP 導入の支援(メンタープール提供、WS の認証)
・メンターの質保証(メンタートレーニング、メンター認証)
・TP 作成者および TP 導入機関のコミュニティ形成
・上記に関連した調査・研究の推進および研究成果の発信
・その他本会の目的達成に必要な事業
*上記については TP だけでなく、TP チャート、ティーチング・ステートメント、アカデミック・ポートフォリオ、スタッフ・ポートフォリオなど教育の質向上に資する関連するポートフォリオ等についても同等に対象とする

 以上により、TP 等が、各個人および機関の教育の質向上に貢献し、学問分野としても発展していくことを目指します。

発起人(五十音順)

大野 智久(三田国際学園中学校・高等学校)
北野 健一(大阪府立大学工業高等専門学校)
栗田 佳代子(東京大学)
吉田 塁(東京大学)